朝8時半、家を出る。バス、私鉄をのりついで最寄のＪＲの駅に着く。約40分。 快速電車に乗り、1時間半。ローカル線に乗り換えさらに1時間半。また、快速にのる。小さなトンネルをぬけると海である。40分ほど乗り、ローカル線を1駅、母の住む町に着く。 最初…

その地域の基幹病院で母は精密検査をうけた。 レントゲンを撮るるとき、付き添いの私とヘルパーさんが外に出ると「行かないで〜。」と大声をあげる。「すぐ終わるからね！」となだめすかす。 なんとか、ひととおりの検査を終えた。 ＣＴの結果では、大きい脳…

母がホームになれたころ、ホームのかかりつけのドクターは「今まで飲んでいた薬をやめましょう。」と言われた。昼と夜の逆転がなくなったそうだ。規則正しく生活しているからかもしれない。 しばらくして、母は荒れはじめた。入居している男性とささいなこと…

母が我が家に住んでいる間、母もわたしも実家のお墓に行かなかった。 母は一人暮らしのとき、1ヶ月に一回くらいお墓参りをしていたようである。私の家から、実家のお墓まで、5時間あまりかかる。坂道をころがりおちるように、状態が悪くなった母をつれてお墓…

２週間後母を訪ねた。息子とちょきこの３人で・・・・ 母の担当のヘルパーさんは「だいぶなれてきましたよ。」といわれた。 母と会ってみて「わたしはははとほとんど話しをしてなかった。」と改めて気づいた。母と特に話すことはない。 しかし、子供たちはあ…

疲れがでたのであろうか？母は特別養護老人ホームについて部屋をわりあてられると、ベッドにはってぐっすりと眠ってしまった。母がトイレをよごしながらもトイレに「自分から行こう。」という意思を大事にしたいとトイレにちかい部屋にしてくれた。生活相談…

「入所ができます。」という知らせがきたとき、「もし、よろしければ国民年金の手帳を預からせてください。」といわれていた。「母の年金を母自身が使うのである。」異論はなかった。国民年金手帳は特別養護老人ホームに預けることにした。 その中から、介護…

母は車に弱い。デイケアに行っていて、少しはなれていたが、乗る前に車酔いとめの薬をのんでもらった。朝はいつものようにセレネースをのんでいる。 ちょきこの運転の車が出発してから、少しうつらうつらしているようだったが、時々目を開けて私の顔をみる。…

息子に電話した。私が、いけるのは、土曜日である。息子は「金曜日の夜まで働いて夜中に帰り次の朝、無理したらできないことはないが・・・ちょきこと相談してみる。」と言った。 「お兄ちゃん無理みたい。わたしが帰れるから帰るよ。」とちょきこから、連絡…

間もなく、その特別養護老人ホームから電話がかかってきた。「お部屋があきましたので、一週間以内に入居してください。準備するものはＦＡＸでお知らせします。 近くにすむ方はお迎えにいきますが、何しろ遠いのでつれてきてくださいますか？」 と言われた…

母は私を信頼しているから、「健康診断をうけよう！」といっても素直にうけてくれたのだ。 我が家に母が来る前「minmiがのぞむなら、特別養護老人ホームに行ってもいいよ。」といってくれていた。そのときは母自身は台所仕事くらいできるつもりだったし、わ…

Ａ先生は健康診断書の用紙を見て「ここは、どこにあるのですか？」と聞かれた。 「母がず〜っと生活していたところです。」と答えると「それは、いいですね。親を特別養護老人ホームに預ける場合、一番いいのは、子供が住んでいるところの近くですが、この辺…

桜のつぼみのふくらみはじめたころ、思いもかけず息子が入居をもうしこんでいた特別養護老人ホームから電話があった。 「入居の順番が高位になりました。入居の意思はありますか？」 「もちろんです。」と答えると「健康診断書の用紙をおくりますので、記入…

３０分ほどして、２０歳くらいの若い職人さんが来てくれた。 手早く、トイレの水道の配管のねじを締め水道の元栓をあけてくれた。 「強い力で押したりすると、トイレのタンクは中が空洞ですから、ひびがいるんですよ。」と言う。「今日、タンクをとりよせま…

午前六時ころ、トイレでザ〜ッと水の流れる音がする。 あわててトイレへ行った。我が家のトイレはタンク式である。タンクに斜めにひびがいり、母はトイレで用をたしていたが、足もとは洪水のように水があふれ、パンツのひざ下半分が水につかっていた。 「お…

入院後一週間して主治医につげられた。「もう、肺炎症状は消えました。明日退院してください。ここは、救急病院なので、お母さんのような方の場合は介護型病院がむいてます。もし、ご希望なら、紹介状を書きます。ただし、清潔度と費用は比例し、家族の方が…

会社が休みの日に母のところへ行っても、他の患者さんの家族が一日病院にいるようすもない。 遅出で時間のある日、母の部屋の大掃除をすることにした。母がデイケアに行ってるとき夫が母の布団を半分おりまげてくれるだけだったから。母は我が家に来て半年く…

次の朝洗濯物を届けると、母はナースセンターにいた。「勝手に歩き回るので、危険ですから。」と看護師さんは言う。「徘徊したのだな。」と気がついた。 確かに少ない夜勤の人数で母のように徘徊する患者がいては、看護師さんは何もできないだろう。 １ヶ月…

会社に午後電話がかかってきた。母が入院している病院からである。 「近所の方が多く入院されてますので、家族の方は一日３回の食事の度にお世話にこられます。一度くらい様子を見に来てください。」 といわれても入院したのは昨日。食事は今日の昼からだっ…

家に帰って食事をして入浴した。 母のいない夜だった。夜中に起こされることのない夜、おそってくる睡魔に勝てなかった。わたしは、泥のように眠った。母のことを考えもしなかった。「完全看護だもの大丈夫だ。」と言う安心感も大きかった。 ときどき、ショ…

熱が出てから母は２時間に１回くらい母はポカリスエットを飲んでいた。最初の１口は「美味しい。」というが、１００ｍｌくらいで「もう、いらない。」という。 デイケア先でも、水分は補給してくれていた。私が眠っていたときは補給をしていないから、やっぱ…

いろいろ検査もした。 心電図は異常なかった。血液検査はＧＯＴとＧＰＴが４０を少し超えているだけで 異常はなかった。ウルソが処方されただけだった。 ＣＴで見ると、小さい脳梗塞が１０数箇所あるそうだ。 「この結果だけで、痴呆が脳梗塞性かどうかの決…

風邪薬を飲むと４時間くらいは少し熱が下がる。大体２時間おきくらいに母はポカリスエットをコップ半分くらい飲んでいた。 夜１２時ころ、汗をふいて尿取りパットをかえてわたしもつかれていたので眠ってしまった。母も解熱剤が効いていたのかよく眠ってしま…

前の日、デイケア先のヘルパーさんから 「どうしても、仕事が休めないなら、お母さんは預かります。センターには看護師もいますし、もしものときはドクター（デイケアセンターを経営している病院）の指示もあおぎます。別室がありますから、そこで休んでいた…

会社にデイケアセンターから、電話がかかってきた。 ３８、３℃熱があるという。早退して、かかりつけ医のA先生の診療所の前で母を迎えた。先生の診察をうける。「風邪でしょう。」とのこと。風邪薬をもらって帰る。 夕食に用意していた煮物に澄まし汁とお粥…

いつもしっかりと食べる母が２〜３日食事を残したことがある。「ほしくない。」と言う。尿のことはわかっていたが、大は食べすぎた以外は今までどういうこともなかった。もともと母は便秘症である。「もしかして！」と思って浣腸を買ってきた。 「ちょっとト…

私に兄弟姉妹はいない。 このころのわたしは、母に必要なことしか話さないようになっていた。 「ご飯できたよ。」とか、「はい！お茶。」とか、「尿取りパットかえるね。」とか、「お薬のもうね。」とか、 もし、兄弟か姉妹がいたら、きっと母にやさしい言葉…

明日が休日という日はつい夜更かしをしてしまう。 寝たのは２時近かっただろうか？ トイレの汚れが少しの日夫は洗面器を足場にして用をたしてくれるようになった。 （もちろん、入浴用には新しい洗面器は買ってきたけど・・）夜中に起きる回数は減っていた。…

そのころ、夜９時半くらいにいつも帰宅していた。 まず、トイレの掃除。母はデイケアから帰って、わたしが朝準備し、夫が部屋に持っていった、夕食をすませて眠っていた。もう、電気を消すことも忘れていた。 いつものように、母にセレネース、アリセプト、…

気をとりなおして、東隣の町の市役所で電話番号を聞き、新しくできる特別養護老人ホームに電話してみた。 「もう、募集は終わってます。現在３００人待ちです。」との返事であった。 「よければ、書類を送ります。３００人待ちでもかまわなければ、書類をだ…